七福神の大黒様は皆さんご存じですよね。
大きな袋と打出の小槌を持った福々しい姿を想像されると思います。
こんな感じですね。
でもこんな凛々しいお姿の像もあります。
古事記や日本書紀に登場する大国主命(おおくにぬしのみこと)という神様。
同一の神様って・・・。でもまったく別人(神)!
もともとは違う神様なんだけど習合されたみたい。
バイクツーリングでよく神社にお参りします。
御朱印ツーリングの記事はこちら!
お参りしていくうちに御祭神について興味を持つようになってきました。
その中でも御祭神としてお祀りされている神社の多い「大国主命」について特に興味を持つようになりました。
調べていくうちに七福神の大黒天と習合されて同一化していたことに驚きました。
非常にわかりやすくて面白い本がありましたのでご紹介します。
今回の記事では引用・参考にさせていただいている部分があります。
そこで今回は七福神の「大黒天様」と習合される前の古事記・日本書紀の「大国主命」について調べていきたいと思います。
今回の記事を読んでいただくとこんなことがわかります
- 大国主命と大黒天(大黒様)は同じ
- 大国主命の別名リスト
- 大国主命のモテモテ奥さんリスト
- 大国主命の生い立ちと成長物語
- 大国主命が主祭神の神社リスト
- 大国主命のご利益
読んでいただくとこれからの神社参拝が楽しくなります!
それでは宜しくお願いします!
大国様(大黒)とは?
ヒンドゥー教の破壊神シヴァ神の化身。マハー・カーラ(大・黒)という名前から大黒天と名付いたようです。
4本の手と三面六臂の憤怒相もあったりでかなり怖い神様。
現在の大黒天様とイメージが違う。
マハー・カーラは仏教に取り入れられ三宝を守護し、衆生を守るとされます。
そしてインドからはるばる仏教とともに日本に伝わりました。
古事記・日本書紀に伝わる大国主命を「おおくに」ではなく「だいこく」と読むことから鎌倉時代以降の本地垂迹思想の影響で大黒天と習合されました。
最澄が比叡山に「三面大黒」を祀り、のちに七福神として習合されることになりました。
インドの神様・仏様・日本神話の神様と混ざり合うすごい経歴。
その上、あとでお伝えしますがさまざまな名前を持っています。
大国主命(おおくにぬしのみこと)とはどんな神様?
生い立ち
- 父神は天之冬衣神(あめのふゆきぬのかみ)
- 母神は刺国若比売(さしくにわかひめ)
- 兄の八十神たち(やそがみ)がいる末っ子
- 須佐之男命(すさのおのみこと)の息子(日本書紀)、もしくは6代後の子孫(古事記)
国生みを行った伊邪那岐命(いざなきのみこと)の禊(みそぎ)によって生まれた三貴子の一柱、須佐之男命の息子、または子孫として生まれました。
(古事記と日本書紀で記述が異なります)
兄の八十神たち(八十は多いという意味)にいじめられる末っ子。
神様の世界にもいじめがあるとは・・・。
由緒ある家系に生まれるもいじめられる末っ子が国津神(地上の神)のトップになるお話です。
様々な別名を持っている。その数10とも12とも。
- 大国主神(おおくにぬしのかみ)
- 大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)
- 葦原色許男神・葦原醜男(あしはらのしこをのかみ)
- 大己貴命(おおなむちのみこと)
- 八千矛神(やちほこのかみ)
- 大物主神(おおものぬしのかみ)
- 大国玉神(おおくにたまのかみ)
- 宇都志国玉神・顕国玉神(うつしくにたまのかみ)
古事記と日本書紀でも名前が違います。
またここに大黒天の名前が加わることになります。
それだけ日本の神話の中でも活躍されているということです。神社によっても表記や読み方が違う場合もあります。
6人(神)の妻
- 須勢理毘売(すせりびめ)
- 八上比売(やがみひめ)
- 沼河比売(ぬなかわひめ)
- 多紀理毘売(たきりびめ)
- 鳥取神(ととりかみ)
- 神屋楯比売(かむやたてひめ)
正妻の須勢理毘売(すせりびめ)は須佐之男命の娘。
神話の世界は時系列がよくわからなくなるし息子と娘が結婚することもあるので戸惑います。
6人の妻がいて180人の子供(神)が生まれたというすさまじいモテっぷり、アグレッシブさ。
うらやましい!
大国主命の物語
古事記の上巻の約3分の1は大国主命が主人公。
大国主命の成長物語です。
稲羽の素兎(しろうさぎ)物語
大穴牟遅神(おおなむぢのかみ)(大国主命)は兄である八十神(やそがみ)と稲羽(鳥取県)にいる八上比売(やがみひめ)に求婚をしに行きました。
末っ子の大穴牟遅神はここでもいじめられたくさんの荷物を運ばされて兄たちから遅れていきます。
この姿が大きな袋を担いだ大黒天とリンクします。
その途中、気多の岬で皮を剝がされた兎が倒れていました。
先行する兄たちは兎に「海水で体を洗い、風にあてればよくなる」とウソを教えました。
その通りにした兎は激痛で苦しみました。
弟はいじめるし兎も虐待するとは・・・。
そこに遅れていた大穴牟遅神が通りがかりました。
サメに皮を剥がされた理由を聞き、兎にも罪はあるものの優しく、
「真水で体を洗い、蒲の穂の花粉を敷き詰めた上に寝転がりなさい」
と教えてあげます。言う通りにした兎はすっかり回復しました。
そしてその優しさと賢さから八上比売は兄たちではなく、大穴牟遅神と結婚しました。
八十神に殺されるも2回生き返る
八上比売と結婚した大穴牟遅神は兄たちの嫉妬を受けます。
そして兄たちに騙されて真っ赤に焼けた大石で焼き殺されます。
人間世界のような生々しさがありますね。こわっ!
それを知った母神の刺国若比売(さしくにわかひめ)は最初に高天原(たかまのはら)に現れた造化三神の1柱である神産巣日神(かみむすひのかみ)に生き返らせるように頼みました。
そして神産巣日神は赤貝の神であるきさ貝比売(きさがいひめ)と蛤の神である蛤貝比売(うむぎひめ)を差し向け生き返らせます。
失敗したことを知った兄たちはまた大穴牟遅神を騙して今度は大木に挟んで殺してしまいます。
そして今回も母神に助けられます。
大穴牟遅神はよく騙されますね。
母神は今度こそ本当に殺されるかもしれないということで木の国(和歌山県)まで大穴牟遅神を逃がします。
しかししつこい兄たちは木の国まで追いかけてきます。
そこで今度は須佐之男命のいる根の堅州国(ねのかたすくに)に逃げることになりました。
根の堅州国は黄泉の国(死の国)と同じという説と違うという説があるようです。
根の堅州国の物語
根の堅州国に着いた大穴牟遅神は須佐之男命の娘である須勢理毘売(すせりびめ)と恋に落ちました。
命からがら逃亡してきて早々に色恋とは・・・。
そして父である須佐之男命に大穴牟遅神に紹介しました。
しかし須佐之男命は大穴牟遅神にさまざまな試練を与えます。
その試練に恋仲である須勢理毘売の助けを得ながら克服していきます。
そしてさまざまな難題を克服した大穴牟遅神は須勢理毘売と一緒に須佐之男命の刀と弓を持って根の堅州国から逃げ出します。
そこで逃げ切った大穴牟遅神は須佐之男命からその刀と弓で兄たちを倒し大国主命と名乗って須勢理毘売を妻にしなさいと言葉をもらう。
須佐之男命の愛ある特訓だったようです。
そして二人は葦原中国に帰ってきます。
国造り神話
須佐之男命にもらった刀と弓を使って兄たちを倒して大国主命は国造りを始めます。
国造りの途中に美保の岬でガガイモの小舟に乗った少名毘古那神(すくなびこなのかみ)と出会い、一緒に国造りをしていきます。
少名毘古那神は先に大穴牟遅神時代に命を助けた造化三神の1柱である神産巣日神(かみむすひのかみ)の子で一寸法師のモデルになったと言われています。
国造りに励んでいる中で突然少名毘古那神がいなくなってしまいます。
そこで大国主命が途方に暮れていると今度は大物主神(おおものぬしのかみ)が現れて国造りを手伝ってくれます。
日頃の行いですかね。
国譲り神話
少名毘古那神と大物主神の協力で造った葦原中国が繁栄をしていきます。
そうすると高天原の天照大御神(あまてらすおおみかみ)が葦原中国は自分の子孫が治めるべきだと宣言をします。
えー、少し理不尽な気がしますが・・・。
そして天照大御神は葦原中国に使者を派遣して大国主命に国を譲るように迫ります。
しかし派遣された2柱の神は大国主命に懐柔されてしまいます。
大国主命は女性だけでなく、人(神)たらしなんですね。
そこで天照大御神は第三の使者として最強の軍神 建御雷神(たけみかづちのかみ)を派遣します。
葦原中国に降り立った建御雷神は稲佐の浜(出雲)に十拳剣(とつかのつるぎ)を逆さに立て、その切っ先にあぐらをかいて座り、国を譲るように迫ります。
すごい脅し。怖いなー。
大国主命は子供たちが返答をすると答えます。
子供の一人、事代主神(ことしろぬしのかみ)は譲ることを了承します。
そしてもう一人の子供、建御名方神(たけみなかたのかみ)は抵抗します。
建御雷神と力比べを挑みますが諏訪湖まで追い詰められて国を譲ることを了承します。
建御雷神、名前からして強そう。建御名方神は諏訪大社の御祭神として祀られてます。
大国主命は国を譲ることを了承します。
交換条件として、
「千木が高天原に届くような高い宮殿を作って自分を祀って欲しい」
と要求します。
それが現在の出雲大社です。
そして目に見えない幽界を支配すること権利も要求します。
そこから暦の10月(神無月)は出雲大社に祀られている大国主命のもとに葦原中国の神々が集まり、縁を結ぶ相談をするようになったそうです。
だから10月は全国的には「神無月」で出雲では「神在月」と言うそうです。
その後有名な天孫降臨が行われ、邇邇芸命(ににぎのみこと)が高天原から降臨されます。
大国主命がお祀りされている神社
全国にお祀りされている神社は無数にあります。
ツーリングルートを検討する為に静岡方面の神社を見てみましたが関係する神社はたくさんあります。
【ツーリングルート提案】名古屋から静岡方面日帰り神社参拝ルート4選
大国主命が御祭神の神社
- 出雲大社(島根県)
- 大前神社(栃木県)
- 日光二荒山神社(栃木県)
- 大洗磯前神社(茨城県)
- 氷川神社(埼玉県)
- 大國魂神社(東京都)
- 神田神社(東京都)
- 気多神社(石川県)
大国主命(大黒様)のご利益は
古事記・日本書紀の物語から見てもいろんなご利益があります。
稲羽の素兎を助けた⇒
医薬の神様・慈愛の神様
国を造り、繁栄させた⇒
豊穣の神様
6人と妻と180人の子供⇒
縁結び・子孫繁栄の神様
そして有名なのが天下人 豊臣秀吉が祈ったと言われる、
三面大黒天大黒天と毘沙門天と弁財天が一体となった仏像で「縁結び」「出世」「金運」のご利益があります。
これだけご利益のある大国主命に毘沙門天・弁財天。最強のご利益ですね。
大国主命(大黒様)について調べてみました!まとめ
今回大国主命について調べてみて神様に失礼ですが大好きになりました。
いろんな試練を乗り越えて国を造り上げていった一方、色恋もお盛ん。
英雄色を好むを地でいく、現在でいうカリスマ経営者のような神様。
このようなバックグラウンドをざっくりでも知って神社のお参りするとまた違った楽しみ方も出来ると思います。
これからも神社にお参りしていきます!